より良く生きる知恵

本当の自分自身になるために、どうしても必要なこと

投稿日:2018年1月26日 更新日:

qimono / Pixabay

細胞分裂の不思議さ

分子生物学者の福岡伸一さんの「動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか」という本で、福岡さんはこんな興味深いことを言っておられました。

一個の卵細胞が受精して分裂を始めて、2,4,8,16,32,64・・・・と細胞は分裂し増えていきます。

分裂を繰り返した受精卵は、やがて中空のボール構造となり、この段階を初期胚といいます。

その初期胚のなかでは、まだそれぞれの細胞は、その核の中に、最初に受精卵が持っていたゲノムの正確なコピーを持っています。

つまり、この時点ではどの細胞にもなり得る万能性があるのです。

しかし、ここで重要なのは、この時点では、それぞれの細胞は将来自分が何になるのかを知っているわけではないということです。

そして、細胞全体を見回して、どの細胞が何になるべきかを上から指揮する者もいないのに、

やがて各細胞はそれぞれ徐々に専門家への道を歩み始め、ある細胞は脳に、ある細胞は筋肉に、皮膚にと、それぞれ分化していくというのです。

そしてこの分化がどのように決定づけられているのかというと、各細胞は周囲の「空気を読んで」、「あなたが脳になるなら、自分は手になるよ」と、

細胞表面の特殊なタンパク質を介した相互の情報交換によって、すなわち「話し合い」「コミュニケーション」によって、自分が何になるのかを決めていくのだというのです。驚きです。

そこで、細胞分裂をして何百個かの細胞の塊となったくらいで、まだ将来なにになるか決定していない時に、細胞同士をバラバラに分けてしまうと、細胞同士が互いに相談できなくて、死んでしまうのだそうです。

ところが、条件を整えて死なないようにすると、自分がなにになるべきか分からないまま分裂をやめない細胞、いわゆるES細胞ができます。

無個性のES細胞は無限に増え続けることが出来るのです。しかし、無目的に自己増殖を続ける、という意味では、がん細胞と同じです。

この細胞の話を聞いて、わたしは思ったのです。細胞の世界も、人間の世界も同じじゃないかと。

人は一人っきりでは、自分自身が何を目指して生きればいいのか見失い、生きられなくなってしまうこと。

また周りと無関係に、ただ自分を大きくすることだけで生きれば癌細胞のように、周りや自分自身を破滅に至るらせることなどです。

細胞のレベルで起こっていることのなかにさえ、神が定められたこの世界の在りよう、人の在りようが秘められているように思ったのです。

聖書のなかの、人間の創造の物語の中に、こういう言葉があります。

「主なる神は言われた。『人がひとりでいるのは良くない・・・』(創世記2章18節)

一つの細胞だけでは、自分がいったい何もので、何になっていくのかが分からないように、人は自分一人では、自分がなにものなのか、自分は、どうなっていくべきなのかを知ることが出来ないのでしょう。

本当の自分になっていくためにも、自分とはちがう誰かとともに生きることが必要なのですね。

-より良く生きる知恵

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

31歳で「余命5年」と言われた女性経営者の話

Pezibear / Pixabay 1月8日の朝日新聞DIGITALの記事に、31歳で余命5年と言われた、女性の経営者の方の記事が載っていました。 今から3年半前に、骨髄異形成症候群という血液が正常 …

変化に対して否定的か肯定的かで、人生は大きく変わります

Nordseher / Pixabay あなたは「変化」に対して、 否定的ですか 肯定的ですか。 否定的な人は、変化を自分の生活を脅かすものと捉えますね。 変化によって失われるディメリットだけを見つめ …

言葉には力があります

Ben_Kerckx / Pixabay 人は言葉を食べて生きています。 昔、ある国の王様が、人間がなぜ言葉を話せるのかを知ろうとして、赤ちゃんになにも語りかけてはならないという実験をしたところ、赤ち …

矢沢永吉は、成功することとハッピーはちがうといいました。

vborodinova / Pixabay2018年の元日の朝日新聞の朝刊一面に、矢沢永吉のインタビューが載っていました。 年末の武道館で、満杯の観客を前に矢沢さんはこう言いました。 「一瞬のハッピー …

日大と関学アメフト部の人としての誇り

TheDigitalArtist / Pixabay 5月6日に行われた、日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボールの定期戦で起きた騒動。   関学大の選手に悪質なタックルを仕掛けて負傷 …

執筆者について

執筆者:しゅういち

東京、山形などで牧師をし、現在は東京都小平市の花小金井キリスト教会で牧師をしています。牧師になるまえは、プロの吹奏楽団で仕事をしていました。

世界のベストセラーである「聖書」から、毎週日曜日、わかりやすくおはなししています。教会のホームページもどうぞご覧ください。

→詳しいプロフィールはこちら