劇場公開日 2013年5月18日
2009年製作/170分/G/インド
原題:3 Idiots
配給:日活
映画館に観に行くのもいいが、アマゾンプライムで無料で見れる映画のなかで、ネットで評判のいい映画をみてみようかな、と思い立ち調べるうちに、このインド映画「きっと、うまくいく」が異様に評判がいいことに気付きました。
正直「インド映画かぁ。おもしろいのかなぁ」とはじめは懐疑的だったことを告白します。
学生が主役のコメディー映画という触れ込みだけで、見始めましたが、なんのなんの、面白い。
インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、3人の学生がドタバタを繰り広げるのですが、ただのドタバタではなく、その背景にはインドにおいて、IT産業のエンジニアになることが、豊かさへの道であるゆえに、その競争社会のプレッシャーで押しつぶされていく学生たちの姿も描かれていく、シリアスな映画でもあるのです。
にもかかわらず、暗さがなくて、時折挿入される、歌と踊りのミュージカルの要素が、スパイスのように効いていて、ストーリー展開も軽快で、3時間という長さを感じさせない、素晴らしい映画体験をさせてくれたのです。
そして、最初から最後まで一貫した哲学が土台にあり、それが主人公の自由人ランチョーのキャラクターとセリフを通して、自然に心に届くのです。
そのメッセージは、非常に現代的だと思いました。
近代までの画一化、合理化による、生産性の象徴としての大学の学長と、一人ひとりの多様性を活かす自由な創造性の象徴としての主人公ランチョーの対決と乗り越え和合していくストーリ展開が、まさに近代から現代への価値観の対決と超克を描いていると、わたしは受け止めました。
こんな大きなテーマを、こんなに軽いタッチで、コメディーで、3時間という長い映画にして、飽きさせることなく、観させてしまうとは
インド映画、おそるべし。
すばらしいです。