映画

きっと、うまくいく

投稿日:2020年3月7日 更新日:

劇場公開日 2013年5月18日

2009年製作/170分/G/インド
原題:3 Idiots
配給:日活

映画館に観に行くのもいいが、アマゾンプライムで無料で見れる映画のなかで、ネットで評判のいい映画をみてみようかな、と思い立ち調べるうちに、このインド映画「きっと、うまくいく」が異様に評判がいいことに気付きました。

正直「インド映画かぁ。おもしろいのかなぁ」とはじめは懐疑的だったことを告白します。

学生が主役のコメディー映画という触れ込みだけで、見始めましたが、なんのなんの、面白い。

インド屈指のエリート理系大学ICEを舞台に、3人の学生がドタバタを繰り広げるのですが、ただのドタバタではなく、その背景にはインドにおいて、IT産業のエンジニアになることが、豊かさへの道であるゆえに、その競争社会のプレッシャーで押しつぶされていく学生たちの姿も描かれていく、シリアスな映画でもあるのです。

にもかかわらず、暗さがなくて、時折挿入される、歌と踊りのミュージカルの要素が、スパイスのように効いていて、ストーリー展開も軽快で、3時間という長さを感じさせない、素晴らしい映画体験をさせてくれたのです。

そして、最初から最後まで一貫した哲学が土台にあり、それが主人公の自由人ランチョーのキャラクターとセリフを通して、自然に心に届くのです。

そのメッセージは、非常に現代的だと思いました。

近代までの画一化、合理化による、生産性の象徴としての大学の学長と、一人ひとりの多様性を活かす自由な創造性の象徴としての主人公ランチョーの対決と乗り越え和合していくストーリ展開が、まさに近代から現代への価値観の対決と超克を描いていると、わたしは受け止めました。

こんな大きなテーマを、こんなに軽いタッチで、コメディーで、3時間という長い映画にして、飽きさせることなく、観させてしまうとは

インド映画、おそるべし。

すばらしいです。

-映画

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

「father カンボジアへ幸せを届けた ゴッチャん神父の物語」をみて。出会いと別れの傷から実っていくもの

吉祥寺のココマルシアターで、「father カンボジアへ幸せを届けた ゴッチャん神父の物語」を観ました。 2015年、8月。カトリック神父・後藤文雄、愛称・ゴッちゃん(撮影当時86歳)のドキュメント。 …

「ヒトラーを欺いた黄色い星」を観て、平和を考える

geralt / Pixabay8月は平和を祈る月です。  7月28日から公開されている「ヒトラーを欺いた黄色い星」という映画を観ました。 ナチス・ドイツ時代。ベルリンでホロコーストを免れて身分を隠し …

映画『Girl/ガール』を観て

MtF(男性の体に生まれながらも心は女性)のトランスジェンダーの少女ララがバレリーナを目指す映画「GIRL」を観ました。 2018年のカンヌ映画祭でカメラ・ドール賞受賞した話題の本作は、ルーカス・ドン …

「焼肉ドラゴン」の物語の、本当の力

saesherra / Pixabay 映画「焼肉ドラゴン」を観ました。    1970年台の高度経済成長時代に生きる、在日朝鮮人の人々の暮らしを描いた物語です。   もともとは、2008年に日韓合同 …

映画「否定と肯定」

「否定と肯定」という映画をみました。 これは実話に基づいた歴史映画なんですね。 1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリ―大学でユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・リップシュタットがホロ …

しゅういち

牧師をしています。聖書や沢山の人との出会いを通して教えられ、気づいたことを、分かちあっています。

【免責事項】

最善の注意をはらって情報を記載していますが、当サイトの情報は、あくまで利用者の方自身の責任でご利用頂きますよう、ご了承ください。

超わかりやすいキリスト教入門のテキストお分けします 日本人だけ知らない、世界の常識キリスト教。そのエッセンスをあなたに