より良く生きる知恵

「犯罪のなくし方」

投稿日:2018年1月18日 更新日:

3839153 / Pixabay

犯罪率を下げたいなら、普通は法律を厳しくして、刑を重くするでしょう。

アメリカのリッチモンド警察署も、以前はそうだった。どこの警察もやっているように取締を厳しくしたが、結果はパッとしない。再犯率は六五%。若者の犯罪率も上昇していた。

そんなとき、ウォード・クラッパムという新しい署長が就任。
それまでのやり方を変えてしまう。

彼は問うた。

なぜ犯罪が起こるまで待たなくてはならないのか?
事後対応ばかりではなく、犯罪を未然に防ぐ取り組みはできないか。

彼はそこからポジティブチケット(善行切符)というアイデアを実行に移す。

たとえば、ゴミに投げ捨てずにゴミ箱に捨てる。バイクに乗るときはヘルメットをかぶる。スケートボードは決められた場所で乗る。学校に遅刻しない。そんなささやかな善行に対して、ポジティブな切符を切ることにした。

それを集めると無料で映画館などに入場できる引換券でもあった。若者たちに居場所を与えるという一石二鳥の意味も待った。

彼の試みは予想以上の成功を収める。
最初はなかなか変化がなかったが、長期的な戦略として投資を続け10年後には青少年の再犯率が60%から8%に激減した。

ある青年は車に惹かれそうになっていた少女を助けてポジティブチケットを手に入れた。

その場にいた警官は「君は素晴らしいことをしたね。君は立派なことができる人だ」と言った。

少年は家へ帰ると、ポジティブ・チケットを壁に飾った。
「何と引き換えるの」と母親がたずねると、少年は答えた。

「引き換えないよ、ずっと持っておくんだ」

警官に怒られたのではなくて、立派だと認められたことは、

映画をただで見ることができるよりも、彼にとって大きな意味を持っていたのだ。

さて、犯罪を犯す前に、悪い考えを共謀したやつらは、罰してしまえ・・・
という、どこかの国の法律とは、随分違う世界ではないでしょうか。

-より良く生きる知恵

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

不安と恐怖の違い

  TheDigitalArtist / Pixabay恐怖と不安は違います。 不安と恐怖は、違います。 恐怖は原因がはっきりしていることです。 不安は原因がはっきりしていないものをいいます …

現状維持は居心地はよくても、やっぱりまずいんです

27707 / Pixabay 動物園のライオンは、サバンナにいた頃は空腹に耐えながら、自分で餌をとるために歩きまわっていたでしょう。   しかし動物園の檻の中で争いもなく、毎日おいしい餌ま …

お金の束縛から自由になろう

kstuttard / Pixabay わたしは31歳まで10年くらい公務員をしていました。 仕事をしながら、夜学で神学の勉強をして、 やがて教会で牧師をすることになって、20年近く経ちます。 &nb …

人はなんのために生きるのか、という稲盛和夫さんの講演を聴いて

Alexas_Fotos / Pixabay 稲盛和夫さんの講演を聴いて 10年くらい前、稲盛和夫氏(京セラ(株)名誉会長)の講演会を聴きに行ったことがあります。 テーマは「人はなんのために生きるのか …

知的エリートが、オウム真理教になぜハマったのか?

maxlkt / Pixabay オウム真理教による地下鉄サリン事件から20年以上経って、当時を知らない若者も増えてきました。   オウム真理教は2000年に「アレフ」に改称し、その後200 …

しゅういち

牧師をしています。聖書や沢山の人との出会いを通して教えられ、気づいたことを、分かちあっています。

【免責事項】

最善の注意をはらって情報を記載していますが、当サイトの情報は、あくまで利用者の方自身の責任でご利用頂きますよう、ご了承ください。

超わかりやすいキリスト教入門のテキストお分けします 日本人だけ知らない、世界の常識キリスト教。そのエッセンスをあなたに