「喜び」と「楽しみ」は、どちらもよい感情ですが、どこがちがうのでしょう。
英語なら「Joy」と「Fun」の違いということですね。
一つ言えることは、「楽しみ」は何かをしているときに感じる感情のことでしょう。
ゲームを楽しんでいるとき。デートを楽しんでいるとき。
仲間と一緒にパーティーを楽しんでいるとき。
好きな趣味に打ち込んでいるとき。
「楽しい」という感情を感じるものです。
ですから「楽しみ」は行動を抜きには感じられない感情です。
じっとしていても「楽しい」のは、娯楽映画を見ているときくらいでしょう。
いずれにしても、外からの刺激によって感じる心地よい気持ちが「楽しい」という感情。
それに対して「喜び」はどうでしょう?
まず、言葉のもつイメージとして、「楽しみ」よりも内面的な感情のことを「喜び」と表現しているように思います。
愛する人と一緒にいるときに感じる、心の底からにじみ出てくるような温かい感情。
むしろ、大きな刺激によってかき消されてしまうような、静かな深い感情。
そのような感情を「喜び」と表現しているのではないでしょうか。
そして大切なポイントは、「楽しみ」は自分の外側から、なにか刺激がなければ感じにくい感情なのに対して、
「喜び」は、自分の外側の刺激によってではなく、むしろ自分の内側から湧き上がってくる感情であることです。
たとえ、周りの環境が「楽しめない」状態であっても、「喜び」は湧いてくることがあるのです。
また、外側の刺激によって引き起こされる「楽しみ」という感情は、刺激になれてしまって、さらに強い刺激がなければ「楽しく」なくなってしまいます。
最初は楽しかったゲームも、なんども繰り返しているうちに飽きてきて「楽しく」なくなっていくものです。
しかし、「喜び」はむしろ、よけいな刺激のないところでこそ、感じることのできる、内側から湧き上がる感情ですから、刺激に慣れてしまったり、飽きるということがありません。
見過ごしてしまいそうな、小さなこと。
当たり前だと無感覚になってしまっていること。
たとえば、家族や友や仕事が与えられていること。住むところがあること。
そんな小さくて見過ごしていたり、当たり前に感じていたことごとに、意識的に心を向けて、
決して当たり前ではなく、偶然でもなく、
すでに与えられていた数々の恵みに気づき、感謝することによって、
だれにも奪い取られない、「喜び」を、だれでも味わい生きることができるのです。