ソーシャルワーカーの向谷地生良さんが書いた、この本のタイトルはとてもインパクトがありますね。
向谷地さんが立ち上げた、浦賀ベテルの家は、今やとても有名な活動です。
「ベテルの家」は、1978年日赤病院の精神科を退院した回復者2,3名が、教会の片隅で牧師の奥さんの協力のもとに昆布作業をしたのが始まりですが、今では精神病ばかりでなく、いろいろな障害を持った人が多数活動しているそうです。
本の帯にはこうあります。
「病気なのに心が健康になってきた」
「精神病を抱えた人たちが、自分で自分の助け方を見つける、浦賀ベテルの家。今日の順調に問題だらけだ」
順調に問題だらけ!! なんという言葉でしょう。
17ページにはこんな言葉が続きます。
「浦賀で暮らしていると、ほかでは一般的に使わないようなユニークな会話が飛び交うことが多いことに気がつきます。
『自分の生き詰まりに手ごたえを感じる』
『この困り方は、いい線をいっているね』
『悩みのセンスが良くなってきた』
『自分の悩みや不安に誇りを感じる』
『最近、落ち込み方がうまいね』
『あきらめ方がうまくなってきた』
『悩みの多さに自信がでてきた』
『病気のスジガいいね』
などの不思議なメッセージが、日常的な会話の中に行きかうのです。
その背後にあるのは、終始生活上のリスクを軽減し、不安や悩みを回避して生きることが、決して安心をもたらさないという経験です。・・・」
なるほど、人は不安や恐れを回避しようとすればするほど、むしろその不安と恐れに縛られてしまうということですね。
心当たりがあります。
「失敗できない」「こんな自分ではだめだ」とか、
「不安や恐れなどあってはならない」と思い込んでしまっている状態に、知らぬ間におちいっていたり・・・・・
そして、すぐにその不安な状態から解放してくれる、「答え」や「解決」を探し求めたり、努力をはじめて、
実際には、どこまでいっても、なにを手に入れても、
そんなに都合よく、不安を解消してくれるようなものなどないので、
むしろ、もっと不安になるという、悪循環にはまるという具合に。
もしそういう状態に陥ってることに気が付いたら、
そんな自分に向かって言ってやりましょう。
「その悩み、いいんじゃない」
「センスいいね、そのネガティブさ」
そうしたら、すっと心が楽になるでしょう。
自分で自分の首を縛っていた、その手を放すために、むしろこう誉めてあげればいい。
「いやぁ、毎度、センスのいい落ち込み方をしてるねぇ」