心と体の健康について 心の弱さを感じる時

安心して絶望できる人生

投稿日:2018年12月19日 更新日:

ソーシャルワーカーの向谷地生良さんが書いた、この本のタイトルはとてもインパクトがありますね。

向谷地さんが立ち上げた、浦賀ベテルの家は、今やとても有名な活動です。

「ベテルの家」は、1978年日赤病院の精神科を退院した回復者2,3名が、教会の片隅で牧師の奥さんの協力のもとに昆布作業をしたのが始まりですが、今では精神病ばかりでなく、いろいろな障害を持った人が多数活動しているそうです。

本の帯にはこうあります。

「病気なのに心が健康になってきた」

「精神病を抱えた人たちが、自分で自分の助け方を見つける、浦賀ベテルの家。今日の順調に問題だらけだ」

 

順調に問題だらけ!! なんという言葉でしょう。

17ページにはこんな言葉が続きます。

「浦賀で暮らしていると、ほかでは一般的に使わないようなユニークな会話が飛び交うことが多いことに気がつきます。

『自分の生き詰まりに手ごたえを感じる』

『この困り方は、いい線をいっているね』

『悩みのセンスが良くなってきた』

『自分の悩みや不安に誇りを感じる』

『最近、落ち込み方がうまいね』

『あきらめ方がうまくなってきた』

『悩みの多さに自信がでてきた』

『病気のスジガいいね』

などの不思議なメッセージが、日常的な会話の中に行きかうのです。

 

その背後にあるのは、終始生活上のリスクを軽減し、不安や悩みを回避して生きることが、決して安心をもたらさないという経験です。・・・」

 

なるほど、人は不安や恐れを回避しようとすればするほど、むしろその不安と恐れに縛られてしまうということですね。

 

心当たりがあります。

 

「失敗できない」「こんな自分ではだめだ」とか、

「不安や恐れなどあってはならない」と思い込んでしまっている状態に、知らぬ間におちいっていたり・・・・・

そして、すぐにその不安な状態から解放してくれる、「答え」や「解決」を探し求めたり、努力をはじめて、

実際には、どこまでいっても、なにを手に入れても、

そんなに都合よく、不安を解消してくれるようなものなどないので、

むしろ、もっと不安になるという、悪循環にはまるという具合に。

もしそういう状態に陥ってることに気が付いたら、

そんな自分に向かって言ってやりましょう。

「その悩み、いいんじゃない」

「センスいいね、そのネガティブさ」

そうしたら、すっと心が楽になるでしょう。

自分で自分の首を縛っていた、その手を放すために、むしろこう誉めてあげればいい。

「いやぁ、毎度、センスのいい落ち込み方をしてるねぇ」



-心と体の健康について, 心の弱さを感じる時

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

心と体の不調の原因はどこからくるのか

valiunic / Pixabay 人は、自分の意思の力だけで、生きているように思い込みやすいですが、 実際には、自分の意思によっては、自分の体のほとんどをコントロールできないわけです。 自分の意思 …

不安と恐怖の違い

  TheDigitalArtist / Pixabay恐怖と不安は違います。 不安と恐怖は、違います。 恐怖は原因がはっきりしていることです。 不安は原因がはっきりしていないものをいいます …

冷凍弁当をひとり暮らしの母に送ってみた

jyleen21 / Pixabay ひとり暮らしの母に 田舎でひとり暮らしをしている母のことが心配になってきた、50代の私。 去年父が亡くなり、一人で暮らしている母の体のことも日々気になっています。 …

死さえ乗り越えさせるユーモアーの力

ast25rulos / Pixabay 「死生学」の専門家が語るユーモアーの勧め ドイツ人で、かつて上智大学で「死生学」をお教えておられた、アルフォンス・デーケン先生の「よく生き よく笑い よき死と …

あなたを決して捨てない存在がいます。だから大丈夫です

RitaE / Pixabay こんな話を聞いたことがあります。 朝鮮戦争のとき、アメリカの兵士が激しい戦場に向かいました。やがて音信が途絶え、彼はなくなったのではないかとご両親は思いあきらめていまし …

執筆者紹介

しゅういち

牧師をしています。聖書や沢山の人との出会いを通して教えられ、気づいたことを、分かちあっています。

超わかりやすいキリスト教入門のテキストお分けします 日本人だけ知らない、世界の常識キリスト教。そのエッセンスを

【免責事項】

最善の注意をはらって情報を記載していますが、当サイトの情報は、あくまで利用者の方自身の責任でご利用頂きますよう、ご了承ください。