年末の武道館で、満杯の観客を前に矢沢さんはこう言いました。
「一瞬のハッピーがあれば、人はまた走れる」と。
この言葉の意味を、数日後に取材したところ、彼はこう言いました。
『神様、成功したら寂しさ、悲しさは消えるんじゃなかったの』と聞いたら、神様が指さした。
見ると、サクセスとは違う、もう一つのハッピーというレールがあった。
成功と、温かくなることは、別だったんだ」
矢沢さんの口から神様という言葉が出てくるとは思いませんでしたが、
一流の世界に生きる人は、自分の限界を超えた、大いなる存在に、心が向くものなのでしょう。
成功と、ハッピー、言い換えるなら「成功」と「喜び」は違うのだという、矢沢さんの気づきは非常に深いです。
状況が良ければ「喜び」状況が悪ければ「喜べない」。
成功すれば、喜び、失敗すれば喜べない。
これは「喜び」ではなくて、「嬉しい」とか「悲しい」という感情の話です。
矢沢さんがいっているハッピーを、わたしは人間の心の深い「喜び」と解釈します。
それは、たとえ成功しても、失敗しても、自分は愛されているし価値がある、と信じるからこそ感じる「喜び」です。
ありのままの自分で大丈夫だと思える時に感じる、「喜び」です。
つまり、自分がなにをしたか、しなかったか、という行いに左右されない、
自分を存在させた大いなる存在の愛と、自分の存在価値を感じるときに、
人は心の底で、ハッピー、「喜び」を感じるものなのです。
人の目にどうみられるかではなくて、
自分をこの世界に存在させた、天の親の目には、自分は高価で尊い。
この愛を信じる人の心の底には、いつも静かな「喜び」があるのです。