動物園のライオンは、サバンナにいた頃は空腹に耐えながら、自分で餌をとるために歩きまわっていたでしょう。
しかし動物園の檻の中で争いもなく、毎日おいしい餌までもらううちに、ライオンらしく駆け回っていた大草原の自由な姿はどこへやら。
狭い檻の中の暮らしがすっかり気に入ってしまった、寝てばかりの巨大な猫になるわけです。
人間も「住めば都」という諺があるように、同じ環境、同じ場所に慣れ親しみ居心地がよくなると、その状態をできるだけ維持する力が働きます。
新しいことが続かない。三日坊主になりやすいのも、今までとは違うことや、変化や成長という居心地を悪い場所にとどまれず、居心地のよい「現状維持」へと向かわせる強い力があるからです。
そんな居心地のいい現状から、だれかが飛び出そうとするなら、周りの人は自分も居心地が悪くなるので、不安になり、その人のすることを批判したり、やめさせようとするものです。
「もしうまくいかなかったらどうするの」
「できるわけないよ」
「どうせ無理」
わたしたちが生きる喜びを感じられなくなるのは、そんな現状維持の心地よさのなかにいるときでしょう。
それは本当は大草原を走り回ることに喜びを感じるライオンが、
わざわざ走り回らなくても、毎日決まった時間に餌をもらえる、目の前の喜び
心地よさによって、
自分らしく生きる喜びを見失った、太った猫になってしまうように。
たしかに現状を変えることは、楽なことではありません。
震えるようなチャレンジが必要なこともあるかもしれません。
しかし、神様が与えてくれた一度しかない自分の人生なのですから、
自分らしく生きていく喜びを、味わっていきていきたいのです。