子育て・教育

一歩社会へと踏み出す我が子へ 私の場合はこうだったよ その3

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→前回のはなし

20歳の時両親が離婚してから、なんとなくむなしさを感じつつ生きていた私。

 そのころ「めぞん一刻」という漫画のヒロインに憧れていた私は、その漫画でヒロインが金沢を旅するシーンを読み、無性に金沢という場所に行ってみたくなり、5月の休暇を利用して、あてもないまま、金沢へとぶらり旅をしたのです。

 今は、東京から金沢まで新幹線が開通していますが、当時は新潟まで新幹線で行き、新潟から金沢まで特急の長旅でした。

私は別に歴史や文化に興味があるわけでもなく、ただ寂しい心を慰めたいという思いだけで、金沢に向かったので、有名な兼六園などの名所を観て、町中をぶらぶらあるいたら、もうなにもすることもなくなり、ホテルに閉じこもってしまったのです。

 もともと社交的な性格でもなく、自分から人に声をかけて出会うということもないまま、旅に出る前よりもさらに寂しく、むなしい心に落ち込んだ状態で、

いよいよ帰路につくため、金沢駅へと向かったのです。

 そして電車の中で読む本を買うために、駅の書店に入り、何の当てもなく書棚を眺めました。

するとふと「愛」という文字にひかれて、ある本を手に取ったのです。

三浦綾子の「愛すること信ずること」というエッセイでした。

 クリスチャンの三浦綾子と夫の三浦光世夫婦が愛し合い支え合う日常が記されていくその内容に心ひかれ、購入し、帰りの電車の中で読み始めたのです。

 「真の愛というものは、愛するにふさわしいものを愛するのではなく、だれからも顧みられない価値なきものを愛することなのではないか。体の弱さも、人間的な弱さも、すべてをゆるして受け入れてくれたこの三浦の愛こそ、愛と言えるのではないか・・」

夫に対して、妻がこのような賞賛を捧げるということに驚き、今までの人生において、考えたことも聞いたこともない三浦綾子さんの言葉の数々と出会ったわたしは、まるでスポンジが水を吸い取るように、その語られる言葉の一つ一つが、渇いた心を潤わせていく感覚を味わいました。

そして、本を読み終わったとき、それまで感じたことのない「心が温かくなる」体験をしたのでした。

この出会いが、その後の私の人生を、徐々に、そして確実に、新しく方向付けていったのです。

つづきはまたいつか

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