プロボクシングの勅使河原(てしがわら)弘晶さんは、中学時代から窃盗や傷害事件を繰り返していたのだそうです。
少年院にも2度も入ったことがあります。
そんな自分になったのは、自分が悪いのではないと、ずっと思っていたのだそうです。
小さい時に両親が離婚。そして義理の母親から虐待を受けるようになりました。
その苦しみ、ストレスから非行に走ったのです。
「アイツのせいで、俺はこうなったのだ」と
そんな彼の生き方を変えたのは、彼が少年院に入っていた時の教官の一言でした。
「お前の人生はお前の嫌いな義理の母に決められたってことだな」
悔しいけれども、何も言い返せなかったそうです。
その一言をきっかけに、彼の生き方は変わっていきます。
少年院から出た彼は元世界王者の輪島功一さんのジムを訪ねます。
そして猛練習のすえに、昨年の10月に世界ボクシング機構アジア・バシフィック・バンタム級王座に就いたのです。
彼は少年院を慰問し、少年たちにこう語りかけるそうです。
「起きたことに後から理由を付けるのは、自分自身。マイナスにもプラスにも捉えられる。過去は変えられる」と。
もちろん過ぎ去った過去の出来事を変えることなど、できません。
彼が言う「過去は変えられる」という意味は、
起こった出来事は変えられないが、
過去の出来事の「解釈」は、
「マイナス」にも「プラス」にも自分がとらえなおせるという意味でしょう。
さて同じ「出来事」を経験しても、ある人は「感謝」し、ある人は「愚痴」ります。
自分のその反応を選んでいるのは、「相手」のせいでも「出来事」のせいでもなく、実は「自分自身」であることに、気づくことなのですね。