人間にとって、人間関係ほど大切なものはありませんね。
とくに身近な人との関係が良好であればあるほど、人は幸せを感じるものだと思います。
そして同時に、身近な人との良好な人間関係ほど、微妙で、むつかしいものもありません。
夫婦や親子関係のいざこざ、
友人や恋人関係の傷つけあい。
上司や部下、先生や生徒の間のいざこざ、緊張関係のストレス。
いったん、壊れてしまった関係を修復するのは、新しく作るよりも、はるかに大変なことですから、ここではそのことは取り上げません。
人間関係は、生き物を育てるようなものです。
出会った最初から、徐々にお互いの信頼関係を育てていくプロセスこそが大切です。
そして、平穏無事なときよりも、なにかお互いの間に問題が起こったり、緊張したときに、それをどのように乗り越えたり、解消していけるかが、良好な人間関係を作っていくために、必要なスキルだと思うのです。
もちろん、問題を回避して、差しさわりのない関係でいることもできるでしょう。それはそれで、必要な距離の取り方があると思います。
どんな人とでも、親しくならなければならない、ということではないからです。
本当に信頼できる人が、自分の周りに数人いるなら、それだけでその人は十分幸せに生きていけるでしょう。
そんな人間関係を築くためには、もちろん一方通行では無理です。
この人と友達になりたいと、お互いが思っていてはじめてそういう関係がはぐくまれていくでしょう。
そのためには、まず自分自身が、人から「友達になりたい」と思ってもらえるような人へと成長していくことが必要です。
つまり、まず自分が魅力ある人になる、ということです。
それは決してむつかしいことではありません。なぜなら、人間はだれもがそもそも、魅力的であるからです。
魅力とは、人と比べて、何かが勝っているという、そういうことではありません。
魅力とは、希少価値があるから感じるものなのであって、
つまり、その人がその人らしくあればあるほど、他にはない魅力が輝くことになるのです。
自分が好きなこと、興味のあること、得意なことに集中している人。熱中できる人。
そんな自分が好きなひと。自信がある人。
自信があるので、人と比べて、自慢したりしない、自然体の人。
こういう状態が、その人らしさという魅力を発揮している状態です。
そういう魅力的な人には、魅力的な人が惹かれてきます。
反対に、劣等感を強く感じている人。人と比べて、自分を否定している人は、
自分に自信がもてず、劣等感を強く感じているので、
自然体で生きている人には、近づきにくいのです。
その人と、自分を比べて、また劣等感をいだいてしまうからです。
そう考えていくと、実はこの「劣等感」が、
自分らしく生きることを妨げ、本来持っているはずの、自分の魅力を輝かせなくさせてしまい、
素敵な出会い、人間関係を妨げてしまっているといえます。
そしてこの「劣等感」ゆえに、人を羨んだりねたんでしまい、
批判や悪口がつい出てしまって、ますますよい関係が結べなくなっていくわけです。
人とうまく関係が結べない。
人間関係が苦手だという方は、
自分自身のなかに、この「劣等感」が強く潜んでいないか、
よく考えてみてほしいのですね。