やさしいキリスト教入門

<9>「訳が古いわけじゃないんですよ。そこのところ、よろしく」

投稿日:2018年1月1日 更新日:

旧約聖書のことを「これは訳が古いんだな、だって旧訳聖書なんでしょ」という方が、たまにおられるんですよ。

まあ、日本語では紛らわしいですよね。「旧訳」と「旧約」って。

この「約」は「契約」の約なんです。「約束」の「約」でもありますよね。

それでいったい誰と誰との「契約」かというと、

天地を造られた「主」とイスラエルの民の「契約」ということです。

 

ノアの洪水という有名な話がありますけれども、この地上に悪が満ちて、洪水によってこの地上が洗われるという出来事のあと、

箱舟を作って救われたノアとその子孫に、神様はもう洪水で滅ぼさないという契約をなさったのが最初。

その後、イスラエルの民の始祖となる、アブラハムを選んで、契約をなさったのでした。

「契約」なんていうと、なんだかビジネスみたいですかね。

「あのとき、いったじゃない。わすれちゃったの」

「それは約束がちがうじゃいですか」

という経験が、だれにでもあるでしょう。人間ってほんと、忘れっぽいし、変わりやすいし、いい加減。

 

でも、天地を造られた「主」は、いったんあなたを愛すると決めたら、

「そんなこといったっけ。わすれちゃったな」とか

「あのときは、そんな気がしただけ。今は気が変わったのさ」

 

なんておっしゃらないのさ。

いったん約束したら、守る。それが「契約」をする意味なんですよ。

「主」が最初にアブラハムを選んで、契約を結ばれた言葉を、引用しておきますね。

アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに現れて言われた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしに従って歩み、全き者となりなさい。

わたしは、あなたとの間にわたしの契約を立て、あなたをますます増やすであろう。」

アブラムはひれ伏した。神は更に、語りかけて言われた。

「これがあなたと結ぶわたしの契約である。あなたは多くの国民の父となる。

あなたは、もはやアブラムではなく、アブラハムと名乗りなさい。あなたを多くの国民の父とするからである。

わたしは、あなたをますます繁栄させ、諸国民の父とする。王となる者たちがあなたから出るであろう。

わたしは、あなたとの間に、また後に続く子孫との間に契約を立て、それを永遠の契約とする。そして、あなたとあなたの子孫の神となる。

(創世記17章)

これが旧約聖書のいわゆる「旧約」ということ。

最初に「主は」、アブラハムとその子孫(イスラエル)を祝福する「契約」をなさったんです。

そんなに愛されているなら、「主」に愛されているイスラエルの民も「主」を愛して生きていこうよ。具体的な生き方で示していこうよ。

それが神の民とされた、イスラエルの中心テーマとなったんです。

そういうイスラエルの民の生き方を通して、

この全世界の人々に「主」の素晴らしさが伝わり、

最終的にはすべての人が、「主」を信じる神の民になる。

そういう意図がこの最初の「契約」には、当然あった。

つまり、イスラエル「だけ」を愛するのではなく、イスラエルを「通して」、すべての人を愛し救うのが「主」のご計画。

 

さて、ここまでお伝えした内容は、旧約聖書の一番最初の「創世記」というところに書いてあります。

「創世記」の次が出エジプト記

これはその後人数が増えたイスラエルの民が、

当時のエジプト王国の奴隷となってしまって、

 

ブラック企業もびっくりな過重労働をイスラエルに強いたときに、

「主」はモーセというリーダーを選び、立て、エジプトの王パロと折衝させるのです。

最後には結局、エジプトに「主」の裁きがくだり、

その「主」の裁きを過ぎこすようにして、

荒れ野にイスラエルは逃れていくんですね。

荒野の旅の途中で立ち寄ったシナイ山の山頂で、

モーセは「主」から「十戒」「律法」という、教えをさずかって、

その後は、この「律法」が、神を愛するイスラエルの民の、具体的な生きる道標となっていくわけです。

 

次に「レビ記」(細かい律法の規程集)

民数記」(イスラエルの部族の人数や、荒野の道中記)

「申命記」(律法が与えられた出来事とその内容を再度確認)

と続いていくのだけれども、

この「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」までを、律法の書といって、

旧約聖書の中の、超重要文書なんですね。

さて、難しくなってきましたかね。

まだいけますかぁ。質問をコメント欄にしてくださいね。

あたまがパンクしないうちに、さあ今日はこのあたりで終わりましょう。

それではまた。

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