より良く生きる知恵

依存する先を増やすほどもっと自由になれる

投稿日:2018年1月15日 更新日:

geralt / Pixabay

東京大学東洋文化研究所教授の安冨渉(やすとみ・あゆみ)著「生きる技法」に、こんな言葉があります。

「往々にして人は「自立しなきゃ」と思うと、「もっと人に依存しないようにしなければ」と考えてしまいます。

・・・こんな間違った命題を信じると、何が起こるでしょうか。これまで依存していた人に、なるべく依存しないようにしようと思うと、依存する先を減らすことになります。

しかし、そうやってどんどん減らしていったとしても、誰にも全く依存しない状態に至るのは、不可能です。

・・・最後に、どうしても切れない依存先が残ります。もしその依存先から「そんなことをすると、お前をもう助けてやらないぞ」と言われると、絶対に言うことを聞かざるを得ません。

たとえ露骨には言われないにしても、「この人に見捨てられたら、私はおしまいだな」と思ってしまいます。これはつまり、従属している、ということです。

・・・「依存する相手が減るとき、人はより従属する」「従属とは依存できないことだ」としても良いでしょう。

もしあなたが、人に助けてもらうことはいけないことであり、自分でなんとかしなきゃ、と思って抱え込んでしまう人であるなら、その考えこそが、あなたを人に従属させている原因だとご理解ください。

もちろんなんでも人に頼ろうとして、人が助けてくれないと当り散らすような人は、未熟なだけです。

しかし、自分が困っているときに、助けを求めることができないこともまた、未熟さの反映なのです。「助けてください、と言えたとき、あなたは自立している」ということになります。」

わたしは8年半の山形県の酒田という街に家族とともに移り住み、教会の開拓をしたことがあります。

収入が0の状態でしたが、そんな私たち家族を支えようと、沢山の友人や友人の友人たちが、少しづつ経済的に支えてくださり、自由に活動することができたのです。

頼る対象がかぎられてしまい、

もうこの仕事、この会社、この人から見捨てられたら生きられないと、心縛られ、支配されないために、

沢山の人々と繋がり、沢山の人々に依存する。

この逆説的な自由を、私自身体験してきたのでした。

-より良く生きる知恵

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

日大と関学アメフト部の人としての誇り

TheDigitalArtist / Pixabay 5月6日に行われた、日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボールの定期戦で起きた騒動。   関学大の選手に悪質なタックルを仕掛けて負傷 …

31歳で「余命5年」と言われた女性経営者の話

Pezibear / Pixabay 1月8日の朝日新聞DIGITALの記事に、31歳で余命5年と言われた、女性の経営者の方の記事が載っていました。 今から3年半前に、骨髄異形成症候群という血液が正常 …

今の状態を肯定するなら、しみじみとした喜びが心に湧いてくるでしょう

MAKY_OREL / Pixabay 今を肯定しよう 「いまの状態はだめで、なにかを変えてもっと良くしなければならない」と「今を否定する」ことから考えをはじめていませんか。   「今はだめ …

上司の理不尽な対応に怒りが収まらないときどうするか

whoismargot / Pixabay 人間の悩みや苦しみの多くは、人間関係にあります。 職場の人間関係で苦しんでいる人が沢山おられる時代です。 パワハラ、セクハラ、様々なハラスメントが起こってい …

「あの西郷隆盛は聖書を読んでいた」

2018年1月7日からNHKの大河ドラマは明治維新の立役者・西郷隆盛を取り上げました。 原作は林真理子の原作『西郷どん』(せごどん)です。西郷隆盛を勇気と実行力で時代を切り開いた「愛に溢れたリーダー」 …