心の弱さを感じる時

生きる喜びがないとき

投稿日:2018年1月6日 更新日:

congerdesign / Pixabay

旧約聖書 コヘレトの言葉4章から

「すでに死んだ人を、幸いだと言おう。さらに生きていかなければならない人よりは幸いだ。いや、その両者よりも幸福なのは、生まれてこなかった者だ。太陽の下に起こる悪い業を見ていないのだから」2節~3節

一見、ネガティブな響きのある言葉。後ろ向きに感じる言葉です。

でも、そうではないのです。

この「太陽の下」の世界を見つめるとき、

力ある者の理不尽な振る舞い、不条理で不可解な出来事、

どうにもならない悲しみ多い現実を前に、

この世を生きなければならないことへのむなしさを感じる、ということは、

むしろ、物事をまっすぐに見据えている、感性の鋭い人ゆえの、心の叫びなのだから。

それは、たとえるなら、小さな部屋の中に一人で閉じこめられている閉塞感にも通じる。

その部屋の中から出ることができなければ、その小さな空間は、その人にとっての世界のすべて。

その閉じられた空間だけを見つめつづけるとき、人はどうしてもむなしさを感じてしまうのです。

そのむなしさをごまかすために、その部屋のなかでゲームをしているだけが、人生なら、

いつまでもむなしさは消えません。

コヘレトの言葉は、その閉じられた世界の閉塞感を「太陽の下」という言い方で語っているのです。

しかし、その閉じられた部屋は、実は、無限なる外の空間と、薄い壁一つで、隔てられているだけなのです。

部屋の中がすべてだと信じて、むなしく希望なく生きてしまっているけれども、

この世界のすぐそばに、無限なる天が広がっている。

この閉じられた部屋のような世界のすぐそばに、無限に開かれた天がある。

この世という、小さな部屋、入れ物は、実は無限なる外側に包まれ、守られている。

生まれる前の赤ちゃんが、お母さんのお腹の中で、守られて育っていくように。

お腹の中の赤ちゃんには、お母さんの姿は見えないけれど、

それはお母さんが遠くにいるからではなく、あまりに近くにいて見えないのです。

この世界に神なんていないのだ。神を見た人はいないじゃないか。どこに神などいるのか。

この世界の中だけを見ていると、そう感じる。

でも、実は、無限なる外側である、神のなかに、この世界は包まれているから、

神は見えないし、この世界の中に神を見つけられないのです。

実は、この世界は、無限である神に愛され、包まれている世界。

その外側から、この世界に宿ったのが、イエスキリスト。

壁の外側の無限なる神の愛と、わたしたちを、今も、つないでいる。

そのイエスを信じてつながることを、「信仰」というわけです。

「喜び」は、信じてつながった心の中に、不思議に湧き上がってくるものなのです。

牧師です。お話聴きます 牧師です。傾聴ボランティア、カウンセリングの経験もあります。

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執筆者紹介

しゅういち

牧師をしています。聖書や沢山の人との出会いを通して教えられ、気づいたことを、分かちあっています。

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